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一人静か

小説
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03/31/09:01  ウチのノラ・2話

月日が経ち、ムカデ御殿の主、ムカデ君達は産めや増やせよと、勢力を増し遂にはゼッケンまで付けて競争を始めました。そのせいで、小動物からも愛されるご主人様はたびたびムカデに噛みつかれ、この御殿を退く事を余儀なくされ山奥から都会へ。都会での生活は、人と車は多いいが土が余り無く、慣れるまでフンをするのも大変でした。しかし、さすがに都会。犬も猫も血統書付き。私と犬の兄貴は肩身の狭い思いをしました。おまけに犬の兄貴は都会生活に中々馴染めず散歩も怖がるようになりましたので、私がお供して差し上げていました。しかし私が少しでも先を歩くものなら、「ウーワン」すぐに吠えるので、三歩下がって影も踏まず、の精神は守りぬき、家の周りの地理に詳しくなった頃には、下水溝を通るという裏技まで覚えたのです。先回りして頭だけ出し、一行を待つ。一行が追い着くとまた、別の下水溝に入り先回りで頭だけ出して待つ。この繰り返し。いじらしいまでの私の行動に近所の叔母様方は笑顔で「可愛いですね。お宅のネコちゃんですか?」「いいえノラネコですよ。ウチのノラです。」おすまし顔の奥様の返答。「阿東の厳しい寒さに耐えたネコでしょう。」相変わらずの外での生活は続きましたが、私の努力のかいあって、奥様の機嫌のいい日には台所の隅っこに置いてもらえるまでになったのです。奥様は二年前から、あのお優しい顔はジュリー似とまで言われているご主人様より韓国俳優のヨン様・ビョン様と心を移され、部屋には大きなポスターまで貼る始末。流れてくるのは、来る日も来る日もハングルばかり。私は呆れ果て「ニャア、ニャア」と、鳴き声も出ません。しかし奥様が韓国ドラマにはまって下さったお陰で私は、ネコ語・イヌ語・日本語遂にはハングル語までマスターし、賢いネコと成長していったのです。そんな日常の続いているある朝、老犬だった兄貴の死。大粒の涙を流す奥様を励まそうと、私は兄貴に成り代わりイヌ小屋の主となったのです。そんな私を見て「ミュウミュウちゃんなんていじらしいの。」
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